北海道札幌市の藻岩窯先代の谷内丞氏によって作られたスリップウェア。
札幌市民には馴染み深い藻岩山の土で作られ、余市の土で文様が描かれています。
スリップウェアは、素地に化粧土を用いて文様を描くイギリスの伝統的な陶器です。
BLAKISTONという店名の由来がイギリス人学者、トーマス・ブラキストンであること。スリップウェアの美しさを見出したのが、柳宗悦や初期民藝運動の推進者であるとされており、私達は民藝を多く取り扱ってはいませんが、 「民藝の精神」を持ってBLAKISTONをオープンさせたこと。このような理由から、勝手に縁の様なものを感じ、なんとしてもスリップウェアを取り扱いたいと思っていました。
そんな時、尊敬するお店の方から教えて頂いて出会ったのが藻岩窯です。まさか北海道で作られたスリップウェアに出会えるとは思っていなかったので、本当に感激しました。
谷内氏の作品はもちろんですが、歩んでこられた陶歴も素晴らしく、作陶に対する情熱を感じます。大学で陶技の基礎を学んだ後、札幌市内に実験窯を築き藻岩焼 の作陶を始めるとともに、札幌焼の発掘調査研究を行ないます。その後、愛知県常滑窯、栃木県益子窯、島根県湯町窯、兵庫県丹波立杭窯、福岡県小石原窯、大分県小鹿田窯で陶技を学び、ヨーロッパでデザインや工芸の研究を重ねます。その後、北海道教育大学で陶芸講師を勤められたということで、私達の友人の中に も谷内氏の教え子だったという方が何人もいて、更に縁を感じずにはいられないのです。
残念ながら2011年にお亡くなりになっており、今後谷内氏 の作品が新しく生まれることはありません。
BLAKISTONではオープン当初から藻岩焼をお取り扱いして来ましたが、現在残っているのは大皿と長角鉢が 各1枚ずつのみ。これで最後です。どちらもスリップウェアらしい文様が描かれ、置いてあるだけで存在感があります。私自身も谷内氏のスリップウェアを自宅で愛用しているのですが、想像以上に日常的に使いやすいです。
正直、店頭からひとつ、またひとつと姿を消して行く様は、嬉しいと同時に寂しくもあります。どうぞ手に取ってこの美しさを味わって下さい。
大皿 ¥46,700(+tax)
長角鉢 ¥8,350(+tax)
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